呪術廻戦では、術式や呪力を底上げする縛りと呼ばれるものがあります。そのなかでも、「天与呪縛(てんよじゅばく)」は、先天的な縛りとして自分で左右できないものです。
天与呪縛は縛りを科せられる代わりに、何らかの力が強化される側面があります。しかし、その影響で一般的な術者とは異なる生活を強いられることも少なくありません。
今回は天与呪縛とは、どのようなものなのか詳しい内容を紹介します。縛りや術式の開示による能力の底上げについても紹介していくので、ぜひご一読ください。
天与呪縛(てんよじゅばく)とは
天与呪縛とは、生まれたと同時に科せられる縛りを指しています。一般的な呪術師と違い、ハンデを背負う代わりに、大きな力を得ることができるのが特徴です。
天与呪縛とは一般的な縛りと違い、自分の意思で付与したり解除したりできません。生きている限り、強制的に縛りを受けることになります。
天与呪縛とは、具体的にどのような縛りなのでしょうか。同列に考えられやすい、フィジカルギフテッドとの違いについても詳しく解説します。
- フィジカルギフテッドとの違い
- 元ネタはハンターハンター?
- 一般人は天与呪縛/フィジカルギフテッドにはならないのか
フィジカルギフテッドとの違い
天与呪縛は、生誕と同時に縛りが科せられます。自分の意思で解除できず、死ぬまで縛りと共に生きなければいけません。
フィジカルギフテッドは天与呪縛の一種で、呪力が全くない代わりに、身体能力が各段に向上したものを指しています。天与呪縛になった人が、全員フィジカルギフテッドになるわけではありません。
作中でフィジカルギフテッドと呼ばれる存在は「伏黒甚爾(ふしぐろとうじ)」と「禪院真希(ぜんいんまき)」の2人です。どちらも禪院家出身という繋がりがあります。
元ネタはハンターハンター?
呪術廻戦の天与呪縛は、同じ少年ジャンプの「ハンターハンター」で出てくる「制約と誓約」と似ていると言われています。自ら縛りを設けて、念能力を底上げするのが「制約と誓約」の特徴です。
実際に、作者が影響を受けた作品として、「BLEACH」や「ハンターハンター」が挙げられているので、意識した可能性はあります。一種のオマージュなのかもしれません。
一般人は天与呪縛/フィジカルギフテッドにはならないのか
天与呪縛でよくある疑問が、呪力を持たない一般人も天与呪縛やフィジカルギフテッドの対象になるのではないかという点です。呪霊が見えない一般人も、基本的に呪力を持っていません。
天与呪縛とは、本来術師になるはずの人間が呪力を持たない代わりに、身体能力が向上する縛りから生まれます。そのため、一般人のように、元から呪力を持たない存在は天与呪縛やフィジカルギフテッドの対象外になるようです。
また、一般人に関しては少なからず、呪力を持っています。全く呪力がないのが、天与呪縛やフィジカルギフテッドの特徴です。
天与呪縛の登場キャラクター
呪術廻戦の作中で、天与呪縛として登場するキャラクターは何人かいます。天与呪縛による恩恵は人によって異なり、縛りの内容も違いがあるようです。
ただし、呪術廻戦のなかでも天与呪縛の恩恵を受けているキャラは少なく、判明しているのは3名のみとなっています。それぞれの縛りや恩恵について、詳しく紹介していきましょう。
- 伏黒甚爾
- 禪院真希
- 究極メカ丸 /与幸吉
伏黒甚爾
本来術師として生まれる禪院家の人間でしたが、呪力0で生まれたのが「伏黒甚爾」です。全く呪力を持たない代わりに、驚異的な身体能力と感覚器官を持って生まれました。
呪力を持っていなければ本来感知できないはずの呪霊まで伏黒甚爾は把握できます。また、呪いへの耐性も獲得しているようです。
伏黒甚爾は、作中で最初に登場したフィジカルギフテッドの持ち主で、特級呪術師の「九十九由基(つくもゆき)」からは超人と評されています。覚醒する前の五条悟をあと一歩のところまで追いつめたほどの実力者です。
素早い動きに加え、呪力を全く持ち合わせていないので、呪術師に場所を悟られずに行動できます。そのため、暗殺に近い動きが可能で、背後に回って致命傷を負わせるといった戦い方が得意です。
禪院真希
一般人並みの呪力しかなく、呪具の眼鏡をかけていないと、呪霊を認識することもできませんでした。しかし、作品が進むにつれて、フィジカルギフテッドとして覚醒し、伏黒甚爾と同じレベルまで成長します。
双子だったことから完全な天与呪縛にはならず、フィジカルギフテッドの能力が中途半端な状態で生まれました。しかし、「禪院真依(ぜんいんまい)」が死亡したことで、完全な呪力0の状態で覚醒します。
妹の禪院真依や自身のために、禪院家の当主を目指していましたが、その目的も失われてしまいました。その結果、禪院家を全てぶっ壊し、事実上の壊滅状態まで追い込んでいます。
人外魔境新宿決戦では宿儺の背後を強襲し、身体能力だけでなく隠密力の高さも見せました。宿儺も興味を示すほど、フィジカルギフテッドの存在は呪術界を揺るがすほどの衝撃のようです。
究極メカ丸 /与幸吉
生まれたときから、右腕と膝から下の肉体と腰から下の感覚がない状態でした。また、全身の毛穴から針を刺されたように肌が痛む状態で、月光で焼けるほどに肉体は脆いようです。
その変わり、広大な術式範囲と実力以上の呪力放出の能力が与えられています。本人は天与呪縛を憎み、「呪術を差し出して肉体が戻るなら喜んでそうする」と語っていました。
自身の肉体を取り戻すために羂索ら呪霊側と内通するほど、動く肢体を求めていたようです。真人の「無為転変」で動く肢体を手に入れましたが、交渉決裂により真人と戦闘し、死亡しました。
準1級呪術師としての実力があり、「傀儡操術」の使い手です。天与呪縛の恩恵で強大なロボを操れるほど、膨大な呪力を持ち合わせていました。
天与呪縛以外の縛りの例
呪術廻戦では天与呪縛以外にも、いくつか縛りで能力を向上させる方法があります。実際に、作中でも縛りをうまく活用し、呪力や能力の底上げを行っている人物も多いです。
縛りは簡単にできる方法もあれば、自分が不利になるような条件を設けるケースもあります。縛りを活用するには、術式や呪力の理解や高い応用能力が求められるようです。
天与呪縛以外の縛りとは、どのようなものがあるのか実例を紹介します。呪術廻戦を深く理解するためにも、縛りの内容について把握しておきましょう。
- 術式開示
- 虎杖と宿儺の縛り
- 「黒烏操術」の能力、神風(バードストライク)
- 帳の強化
- 七海建人の時間外労働
- 投射呪法
- 羂索の縫い目
術式開示
自身の術式を相手に伝えることで、手の内をさらす行為を「術式開示」と呼びます。自身を不利な状況に追い込むことで、術式効果の底上げが可能です。
過去に七海建人(ななみけんと)が、自身の術式「対象の長さの線分7:3の比率の位置を弱点にする」という説明を真人に対して行っていました。その結果、術式の効果が底上げされています。
術式のなかには、手の内を見せると不利になるケースもあるので、術式開示は使い方が肝心です。注意しても術式が避けられないときは、術式開示を行ってもデメリットは少ないでしょう。
虎杖と宿儺の縛り
少年院で心臓が潰されたとき、生得領域のなかで虎杖と宿儺が縛りを締結していました。他者間の縛りは簡単に破ることができず、破ったときのリスクは反動が大きいといわれています。
虎杖と宿儺の縛りは、一見すると虎杖にはそれほど不利に思えない条件でした。虎杖と宿儺が締結した縛りの内容は、下記の通りです。
- 宿儺が「契闊(けいかつ)」と唱えたら1分間体を明け渡す
- 約束は意識が戻ったら忘れる
- 1分間は宿儺が誰かを殺したり傷つけたりしない
虎杖は宿儺の縛りの条件に対して、納得していませんでした。しかし、生得領域で宿儺が勝てば条件を飲むと話をした後、一瞬で虎杖が敗北して縛りの条件を飲むことになります。
「黒烏操術」の能力、神風(バードストライク)
1級呪術師の「冥冥(めいめい)」が使う術式「黒烏操術」で「神風(バードストライク)」と呼ばれる技があります。これは、烏が絶命する代わりに、威力を底上げするというものです。
弱い呪力しか持っていない烏に絶命の縛りを設けることで、本来ならありえないほどの威力を実現しています。凄まじい威力まで底上げされており、五条悟以外防げたものはいないと言われているようです。
特級呪霊を貫通するほど威力は高く、宿儺でさえも警戒している描写がありました。絶命の縛りで受けられる恩恵は、かなり強力なようです。
帳の強化
一般人が呪霊の被害にあわないように設ける帳についても、縛りを設けるケースがあります。例えば、特定の人間だけ侵入を拒むといった効果を付与すれば、帳の効果を強化することが可能です。
これにより、呪術高専京都校との交流会で、五条悟だけが帳の影響で足止めされました。そのときの帳による縛りが、「五条悟以外は帳を通ることができる」といったものです。
現代最強の呪術師といわれている五条悟でも、この帳を攻略する際には時間がかかっていました。簡単な帳でも、縛りを設けるだけで攻略が困難な結界術まで強化できます。
七海建人の時間外労働
七海建人が自ら科していた縛りのなかに、「時間外労働」があります。これは就業時間中は一定の呪力に制限する代わりに、時間外労働になったときに制限していた呪力を上乗せするといった縛りです。
時間外労働の縛りによって実力以上の力を引き出すことができ、呪力の底上げが実現できます。時間外労働中に強敵と当たったときの対策として有効活用できる縛りです。
投射呪法
御三家の一角である禪院家相伝の生得術式に「投射呪法」があります。これは自身の視覚を画角として「1秒間の動きを24分割したイメージ」を頭に描き、実際に後追いする術式です。
この術式は動きを作ることができれば成功し、失敗すれば1秒間はフリーズするといった縛りが設けられています。縛りによって、超高速での行動が実現でき、相手をスピードで翻弄することが可能です。
投射呪法の強みは、術者に触れられた者にも同じ効果を適用する点になります。相手にもメリットがあるような術式ですが、慣れない動作を強制されるので、相手は戸惑っているうちに圧倒されてしまうでしょう。
羂索の縫い目
羂索は他者の死体に、自身の脳を入れることで肉体を乗っ取れる術式を持っています。このときに、頭に縫い目がある状態にすることが、羂索の縛りと明かされました。
頭に縫い目を残す縛りで、どのような効果を得るのか具体的な説明はまだ出ていません。今後、何らかの説明が入る可能性があるので、期待して待ちましょう。
虎杖悠仁は天与呪縛なのか?
虎杖悠仁は、呪術の世界を知る前から驚異的な身体能力の持ち主でした。このことから、虎杖悠仁も天与呪縛の影響で、フィジカルギフテッド持ちのように見えます。
宿儺の指にも耐性があり、呪術に対する抵抗力が異常に高いです。虎杖悠仁が天与呪縛の可能性について、詳しく解説します。
- 虎杖悠仁
- 宿儺の器として生まれた
天与呪縛ではない
身体能力だけなら、虎杖悠仁もフィジカルギフテッドと思えるほど、異常な力が備わっています。しかし、虎杖悠仁には天与呪縛といえるような縛りはありません。
単純に身体能力が高いだけであり、フィジカルギフテッドとは別の力が備わっているのかもしれません。また、呪力を使っているので、呪力0のフィジカルギフテッドとは根本的に違うようです。
宿儺の器として生まれた
虎杖悠仁は羂索が宿儺の器としてつくり出した人物であるため、何らかの細工をして肉体が強化されている可能性が高いです。呪力に対しても抵抗力が強く、頑丈さも人並外れています。
天与呪縛ではないため、フィジカルギフテッドと比べると身体能力だけは劣っているかもしれません。宿儺の器としてつくられたため、特別に身体能力が高いと推測されます。
まとめ
天与呪縛とは、生まれながらにして何かを強制的に犠牲にした「縛り」から生まれた力です。自身の意思ではない分、不幸に感じられる一面もあります。
縛りとは、自分の行動や術式を何かしら制限し、呪力や能力の底上げをする方法です。強敵と対峙したときに便利になるため、戦いのなかで縛りを設けている呪術師はいます。
術式開示や帳の強化など、さまざまな工夫で呪術師は能力を高める努力をしているようです。天与呪縛や縛りなど、今後も作中で登場すると思うので、ぜひチェックしてみてください。